日本人における視覚障害の原因の第一位は緑内障です。40歳以上の日本人の20人に一人が緑内障と推定されていますが、その9割の方がまだ気づいていないと考えられています。
緑内障
Glaucoma
Glaucoma
日本人における視覚障害の原因の第一位は緑内障です。40歳以上の日本人の20人に一人が緑内障と推定されていますが、その9割の方がまだ気づいていないと考えられています。
※ 白神史雄 : 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究 平成28年度 総括・分担研究報告書 : 32, 2017より作図
片目の目に見えない部分があっても、両目で見ているともう片方の目でカバーしてしまうため、見えない部がかなり広がるまで気づかないことが多いです。
眼球の中は房水によって満たされており、眼球は内側から外側に押されて球体を維持しています。この眼球を外側へ押す力を眼圧と呼んでおり、房水の量は産出と排水のバランスが保たれており、適度の眼を維持しています。
しかし何らかの原因で房水の流れが妨げられると眼球内の房水の量が増加して眼圧が上昇し、視神経が押しつぶされて損傷し、正常に機能しなくなります。
緑内障の中でも日本人に多いのが正常眼圧緑内障だといわれています。正常眼圧緑内障とは、眼圧が高くないにもかかわらず緑内障になる事をいいます。視神経が痛めつけられる大きな原因は高眼圧ですが、眼圧は正常値なので緑内障を発症する人が多いことがわかっています。
視神経乳頭の強さは人によって異なりますが、視神経が構造的に弱い場合、正常レベルの眼圧でも視神経が傷つけられています。 眼圧は1日の中でも変化するものであり、1年を通じてみると、冬季に高く、夏季に低くなりやすいことも知られています。 眼圧に影響するものとしては、年齢、性別、近視や遠視の程度、人種、体型、運動、血圧などもあります。緑内障の患者さんは特に1日の眼圧の変化が大きいです。
隅角部の房水の排出路にあたる網目の部分(線維柱帯)が目詰まりすることで、房水の流れが悪くなり、少しづつ眼圧が上昇して緑内障をおこします。
原発解放隅角隅角緑内障(広義)は、眼圧の高さにより2つにわけられ、眼圧が正常範囲(20mmHg以下)である緑内障を正常眼圧緑内障、眼圧が20mmHgより高いものを狭義の原発解放隅角緑内障と呼びます。
緑内障の6割が正常眼圧緑内障であり、欧米に比べて日本人に多いと言われています。
虹彩と水晶体間が狭いため、隅角がふさがってしまい、房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇する緑内障です。激しい目の痛みや頭痛、目の充血、視力低下といった急性の発作を起こすことがあります。
多くの場合、自覚症状がない緑内障に対して最も重要なことは、早期発見・早期治療です。一度障害された視神経を元に戻す方法はありません。したがって、出来るだけ早期に緑内障を発見し、治療を開始することが大切です。
緑内障の治療は、まず眼圧を下げることが大切です。眼圧を下げることによって、緑内障の進行を遅らせる効果があるためです。大半は薬物療法だけで眼圧をコントロールできる方が多いです。
薬物療法だけでは眼圧をコントロールできない場合、視野障害がが進行する場合は観血手術を行います。手術は、房水の通り道を通りやすくする流出路再建術と、房水を球結膜下に逃がすろ過手術、チューブから眼球周囲の深部に設置するプレートへ逃がすチューブシャント手術などがあります。緑内障手術の術式はたくさんありますが、病状に合わせて術式を決めていきます。
◎質問をクリックすると回答をご覧いただけます。
視力検査、眼圧検査、眼底検査、視野検査、眼底三次元画像解析検査(OCT)などを行います。
視野検査とは、まっすぐ見た状態で上下左右どのくらいの範囲が見えているかを調べる検査です。一定の大きさの指標を特定の位置に固定したままで明るさを変化させます。見えた明るさを測定することで視野の感度を調べます。
上手にできる人で片目10分程度かかりますので、高齢者や視野や視力が悪く検査が上手にできない場合にはさらに時間がかかります。
OCTは眼底を三次元で解析し、網膜の断面や視神経線維の厚みを測定したり、視神経乳頭の状態を詳細に知ることが出来ます。そのことにより、緑内障の早期診断や症状の進行の把握、経過観察を的確に行うことが出来ます。